architects "STRUCTURE"
個人住宅 木のカタマリに住む
Private house "Living inside 'mass of woods"

木材をふんだんに使用した、老夫婦のための住宅である。
通常は柱・梁といった軸組として使われる木材を、面として木材を大量に用いることで、強度、断熱性、蓄熱性、調湿性といった、木が持つ多面的機能が活きる住宅を目指した。
この住宅で用いられる木材は、表面にひび割れが発生していたり、角に樹皮や丸みが入っていたり、デッドストック材として市場に流通しない材、約45㎡(一般住宅の約3倍)を使用した。
これらを大量の木材を特殊な生産設備を用いず、構造用ビスや釘を用い手作業で加工・積層させることで、低市場価値材に付加価値を与えられるように試みた。

北東側外観

リビング
正方形のワンルーム空間に、木の壁で仕切られた水廻りや寝室などの個室が配置される。
環境負荷を低減させるため、南側のハイサイドライト(写真右側)は、夏の日差しは遮り、冬はリビングの北側奥まで日光が差し込む。

リビングよりテラスを見る
同じ床レベルとし、内外が連続する使い方を促す。


リビング
太陽熱や薪の燃焼を熱源とした給湯暖房システムを採用しており、1階モルタル床は温水パイプを打ち込んだ蓄熱体とした。

南側ハイサイドを見る

1階寝室

階段と水廻りへ続く通路
木材の角に樹皮や丸みが入った間柱材を用いた間仕切り壁。

2階寝室

テラスと庭
玄関ポーチを兼ねたテラスを通り、室内へと向かう。


外壁の経年変化の様子(竣工時 / 5年後)
外壁は無塗装のスギ板張りとした。厚さを45mmとすることで、耐久性を確保しつつ木材の経年変化を味わえる外壁とした。
また、外壁材に均一に雨が当たるように立面を計画することで、一様に木材が変化していくように工夫した。

外部倉庫兼、車寄せ


個人住宅 木のカタマリに住む
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竣工年 :2015年
所在地 :静岡県富士宮市
敷地面積:969㎡
延床面積:139㎡
用途 :個人住宅
構造 :木造軸組構法
階数 :2階
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共同設計:平成建設
構造設計:宮田構造設計事務所
写真提供:平成建設
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掲載 :新建築 2015年11月号
TOTO通信 2015年 秋号
ディテール 209号(2016年7月号)
MODERN LIVING No.226
受賞 :Good Design Award 2015 グッドデザイン・ベスト100
Japan Wood Design Award 2019 ウッドデザイン賞ソーシャルデザイン部門 入賞
2015年度 第11回 木の建築賞